決定版!バスを美しく撮る方法:光と構図で魅力を引き出す撮影テクニック
街の主役であり、旅の象徴でもあるバス。その無骨で堂々とした姿や、美しいデザイン、そして地方色豊かなカラーリングを、思い出に残る美しい写真として残したいと考えるファン(撮りバス)は少なくありません。
しかし、「思ったように車体が綺麗に写らない」「行先表示が真っ黒になってしまう」といった悩みを抱える方も多いのではないでしょうか。
この記事では、バスの魅力を最大限に引き出すための、プロが使う光、構図、設定のテクニックを徹底解説します。一眼レフカメラはもちろん、スマートフォンでも実践できる方法をご紹介します。
1. 成功を左右する!バス撮影の「光」の選び方
乗り物撮影において、光の向きは写真の仕上がりを決定づける最重要ポイントです。
1-1. 基本は「順光」で車体の色を鮮やかに
バスの車体全体の色やデザインを最も鮮明に、かつ均一に写すことができるのは順光です。
順光とは?: 撮影者の背後から被写体に向かって光が当たる状態。
メリット: 車体の色やロゴがはっきりと再現され、影ができにくい。
コツ: 特に晴天の午前中や午前中から午後の早い時間は、光の角度が低すぎず高すぎないため、バスの正面から側面までをバランスよく明るく照らしてくれます。
1-2. 立体感を出すなら「サイド光」を意識
バスの側面を長く、**立体感(奥行き)**を出したい場合は、**サイド光(斜めからの光)**を意識します。
サイド光とは?: 被写体の斜め前方、または真横から光が当たる状態。
メリット: 車体の側面に適度な陰影(シャドウ)ができ、メタリックな質感が強調されます。
コツ: 早朝や夕方の光は斜めから差し込むため、ドラマチックな表現が可能です。
1-3. 【NGアングル】逆光・半逆光での正面撮影は避ける
逆光でバスの正面を撮ると、車体全体が暗くつぶれてしまい(黒つぶれ)、ヘッドライトや窓ガラスの反射も強くなりがちです。特別な意図がない限り、バスの**「顔」は順光またはサイド光**で撮るようにしましょう。
2. バスをカッコよく見せる「構図」の黄金ルール
バスの堂々とした存在感を引き出すためには、構図が非常に重要です。
2-1. 定番の「シチサン(7:3)構図」をマスターする
乗り物撮影で最も安定感があり、美しく見えるのが、車体の側面が約7割、正面が約3割の割合で写るアングル(シチサン構図)です。
実践方法: バスが斜め前方から近づいてくる、または走り去る瞬間に、ローアングル(少ししゃがむ)でカメラを構えると、バスがより大きく、迫力ある写真になります。
2-2. 余計なものを映さない「背景の引き算」
美しいバス写真の秘訣は、主役のバス以外に**余計な情報(電柱、標識、通行人など)**を入れないことです。
撮影前のチェック: シャッターを切る前に、ファインダーやスマホ画面の隅々までチェックし、背景に不必要なものが入っていないか確認しましょう。
ロケーション選び: 理想は、青空や緑の多い自然、または統一感のあるターミナルなど、背景がシンプルな場所です。
3. 【最重要】LED行先表示を綺麗に写すための設定
最新のバスの多くに採用されているLED式の行先表示は、写真に撮ると点滅のタイミングで文字が欠けて見えたり、真っ黒になったりする現象が起きます。これを防ぐには、シャッター速度の調整が必須です。
撮影設定の黄金ルール
| シチュエーション | おすすめのシャッター速度 | 備考 |
| 停車中のバス | 1/60秒以下(1/30秒が理想) | カメラを三脚等で固定するとブレにくい |
| 走行中のバス | 1/100〜1/250秒 | 走行速度によるが、ブレ覚悟で遅めに |
なぜシャッター速度を遅くするのか?
LEDは実際には高速で点滅しています。シャッター速度を遅く設定することで、点滅の一瞬だけでなく、LEDが光っている時間を長く捉えることができ、文字が切れずに綺麗に写るのです。
スマホの場合: スマートフォンではシャッター速度を自由に設定できないことが多いため、夜間や薄暗い時間帯など、カメラが自動的にシャッター速度を遅くする環境で試してみましょう。
4. 応用テクニック:夜景の中のバスを撮る
夜間にバスを撮る際は、光を効果的に使って、昼間とは違う幻想的な雰囲気を表現できます。
流し撮り: シャッター速度を遅く(例:1/30秒)設定し、バスの動きに合わせてカメラを振る(流す)ことで、バスはシャープに、背景は光が流れて躍動感のある写真になります。
長時間露光(停車中): 三脚を使い、数秒間シャッターを開けておくことで、バスのテールランプの光跡や、夜の街の光を美しく描写できます。(ただし、ストロボは厳禁です)
5. まとめ:最高の瞬間を切り取る準備
バスを美しく撮るためには、**撮影場所選び(ロケハン)**で光の向きを確認し、シャッター速度でLED表示の対策をすることが成功の鍵です。
今日ご紹介した**「順光」「シチサン構図」「1/60秒以下のシャッター速度」**の3つのポイントを意識するだけで、あなたのバス写真は見違えるように美しくなります。さあ、カメラを持って、旅の魅力を運ぶバスの雄姿を最高の形で記録しましょう!