カメラレンズの必需品!ダストペーパー(レンズペーパー)の正しい使い方と徹底クリーニング術
大切なカメラレンズに付着した指紋や油膜、小さなホコリ。「どうやって拭き取ればいいの?」と悩んだ経験はありませんか?
デリケートなレンズ面は、間違った方法でクリーニングすると、コーティングを傷つけてしまう危険性があります。そこで活躍するのが、レンズの清掃に特化して開発された「レンズダストペーパー」、通称「レンズペーパー」です。
この記事では、カメラやレンズを長く愛用するために欠かせない、レンズダストペーパーの基本と、プロも実践する正しい「レンズクリーニングの手順」を詳しくお伝えします。
1. レンズダストペーパーとは?普通のティッシュとの決定的な違い
レンズダストペーパーは、極めて薄く、繊維が残りにくいように特殊加工された紙で、光学機器の表面を拭き取るために作られています。
通常のティッシュがNGな理由
「ティッシュペーパーでも大丈夫では?」と考えるかもしれませんが、これは絶対に避けるべきです。
項目 | レンズダストペーパー | 一般的なティッシュペーパー |
繊維の質 | 極めて細かく、毛羽立ちや繊維くずがほとんど出ない。 | 繊維が太く、毛羽立ちやすい。拭き跡に繊維くずが残る。 |
素材の硬さ | 柔らかく、レンズのコーティングを傷つけにくい。 | 粗い素材で作られたものは、微細な傷をつけるリスクがある。 |
用途 | レンズ、ファインダー、フィルターなどの光学面専用。 | 顔や手など一般的な用途。 |
レンズダストペーパーは、繊維くずや微細なチリが付着しにくく、レンズクリーナー液を染み込ませて使うことで、指紋や油膜を安全に除去できるプロの道具なのです。
2. 【安全が最優先】レンズクリーニングの基本5ステップ
レンズを傷つけずにキレイにするには、「拭き取る前の準備」が最も重要です。必ずこのステップを守ってください。
ステップ1:ブロアーでホコリを吹き飛ばす(最重要)
レンズ表面に付着した砂やチリなどの硬い粒状のホコリを、ブロアー(ゴム製の手動ポンプ)を使ってまず除去します。
【重要ポイント】
ホコリが残ったまま拭くと、硬い粒でレンズのコーティングを引っ掻き、致命的な傷をつけてしまいます。
ブロアーの先端をレンズ面に触れさせないように、優しく、確実に吹き飛ばします。
ステップ2:液体クリーナーをペーパーに少量含ませる
ブロアーでホコリを除去した後、指紋や油膜などのベタつきがある場合は、レンズダストペーパーを適度な大きさに折りたたみ**ます。
レンズクリーナー液をペーパーの先端に少量(湿る程度)染み込ませます。クリーナー液を直接レンズにスプレーするのは、レンズ内部に浸入する恐れがあるため絶対にNGです。
ステップ3:中心から外側へ「渦巻き状」に拭き取る
力を入れず、指の腹で軽く撫でるように、レンズの中心から外側へ向かって、渦を描くように優しく一方向に拭き上げます。
【重要ポイント】
強く押し付けない:レンズのコーティングは非常にデリケートです。軽く触れる程度の力加減で十分です。
ペーパーを使い回さない:使用済みのペーパーには汚れや油分が付着しています。必ず、拭き残しや仕上げには新しいペーパーを使用します。
ステップ4:新しいペーパーで乾拭き(仕上げ)
クリーナー液による拭き跡やムラが気になる場合は、新しい、乾いたレンズダストペーパーで再度、中心から外側へ円を描くように優しく拭き上げ、仕上げます。
ステップ5:後玉(あとだま)も忘れずに清掃
前玉(被写体側のレンズ面)だけでなく、カメラボディ側の後玉も同様に清掃します。後玉は奥まっていることが多いため、無理せずブロアーでホコリを吹き飛ばすだけでも効果があります。
3. レンズダストペーパーの賢い選び方と注意点
3.1. クリーニングアイテムの使い分け
レンズの汚れの種類によって、メインで使うアイテムを使い分けるのが賢明です。
汚れの種類 | 最適なクリーニングアイテム |
ホコリ、チリ、砂 | ブロアー |
指紋、油膜、水滴跡 | レンズダストペーパー+クリーナー液 |
軽い指紋、皮脂 | 高性能なクリーニングクロス(トレシーなど) |
レンズダストペーパーはクリーナー液とセットで使うことで、拭きムラを残さず油分を除去できる最強のコンビです。
3.2. レンズクリーニングティッシュとの違い
市販されている商品には「レンズクリーニングティッシュ」という液が染み込ませてあるタイプもあります。
レンズダストペーパー: 乾燥しており、自分でクリーナー液を調整して染み込ませる。拭き方の自由度が高い。
クリーニングティッシュ: ウェットタイプで液の量が一定。手軽で携帯に便利だが、ペーパーの質によっては拭きムラが残る場合がある。
自宅でじっくり手入れをする際は、ペーパーとクリーナー液を分けて使う方が確実な仕上がりを得られます**。
3.3. 強く拭きすぎないための「裏技」
力を抜くのが難しいと感じる方は、レンズダストペーパーを折りたたんで、指先ではなく手のひら全体で包み込むように優しく拭いてみてください。自然と力が分散し、コーティングへの負担が軽減されます。
日頃からブロアーでこまめにホコリを除去し、レンズキャップをしっかり閉めることが、拭き取りの回数を減らし、レンズを守るための一番の対策となります。