「社会保険の適用拡大」って何?パート・アルバイトさんも安心!仕組みを分かりやすく解説
「社会保険の適用拡大」という言葉を耳にする機会が増えましたね。これは、これまで社会保険に入っていなかったパートタイムやアルバイトで働く方も、条件を満たせば新しく健康保険や厚生年金保険に加入できるようになる制度のことです。
「うちの会社は対象?」「自分も入れるの?」と疑問に感じている方もいるかもしれません。この制度は、働く人たちのセーフティネットを広げ、将来の安心を支える大切な仕組みです。
この記事では、「社会保険の適用拡大」によって対象となる事業所(会社)や従業員はどんな方たちなのか、そしてどんなメリットがあるのかを、厚生労働省の情報を基に、優しく、そして分かりやすく解説していきます。
社会保険の適用拡大って、具体的にどう変わるの?
社会保険の適用拡大は、段階的に進められています。これまでは、一定規模以上の会社で働くパート・アルバイトの方が対象でしたが、この度、さらに多くの方が社会保険に加入できるようになりました。
具体的なポイントは以下の通りです。
- 従業員数の基準が段階的に広がっています。
- 以前から、従業員数501人以上の企業で働くパート・アルバイトの方が対象でした。
- 次に、従業員数101人〜500人の企業で働く方も新たに対象となりました。
- そして、さらに「従業員数51人~100人」の企業で働くパート・アルバイトの方も、新たに対象に加わりました。
従業員数のカウント方法は、厚生年金保険の被保険者数(フルタイムで働く従業員と、週の労働時間がフルタイムの4分の3以上の従業員の合計)を指します。法人の場合は法人番号が同じ全事業所の従業員数を合計し、個人事業所は個々の事業所ごとにカウントします。
【ポイント!】 従業員数が50人以下の企業でも、会社と従業員が合意すれば、51人以上の企業と同じ条件で社会保険に加入できます。これは、より多くの人が社会保険の恩恵を受けられるようにするための、大切な選択肢です。
「私(僕)も対象?」新しく社会保険に入れる従業員の条件
では、実際にどんなパート・アルバイトの方が、新たに社会保険の加入対象となるのでしょうか?以下の4つの条件をすべて満たす方が対象となります。
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週の所定労働時間が「20時間以上30時間未満」であること
- これは、契約で決められた労働時間を指します。一時的に残業して20時間を超える場合は含みません。
- もし、契約上は20時間未満でも、実際に2ヶ月連続で週20時間以上働き、今後もその見込みがある場合は、3ヶ月目から加入対象となることがあります。
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所定内賃金が「月額8.8万円以上」であること
- これは、基本給と各種手当(例えば役職手当など)を合計した金額です。
- 残業代、賞与、通勤手当、家族手当、そして臨時的に支払われる賃金などは、この「月額8.8万円」には含まれませんので注意しましょう。
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「2ヶ月を超える雇用の見込みがある」こと
- 一時的な短期の仕事ではなく、ある程度の期間、継続して働く見込みがある方が対象です。
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学生ではないこと
- 原則として、昼間学生の方は対象外です。
- ただし、休学中の方、定時制や通信制の学校に通っている方は、加入対象となります。
これらの条件に「すべてチェックが入る」方が、新たに社会保険の対象となります。
社会保険に入ると、どんなメリットがあるの?
「保険料が増えるのはちょっと…」と不安に感じる方もいるかもしれませんが、社会保険に加入することには、将来の安心を支える大きなメリットがたくさんあります。
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健康保険に入れる安心感:
- 病気やケガで病院にかかる時、医療費の自己負担が3割で済みます。
- 病気やケガで会社を休んだ時に、「傷病手当金」がもらえる場合があります。
- 出産時には「出産育児一時金」や「出産手当金」がもらえる場合があります。
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厚生年金保険で将来の年金が増える!:
- 国民年金だけでなく、厚生年金にも加入することで、将来受け取れる年金額が増えます。これは、老後の生活を支える大切な土台になります。
- 万が一、病気やケガで障害が残ってしまった場合、「障害年金」がもらえることがあります。
- 働く人が亡くなってしまった場合、遺族に「遺族年金」が支払われることがあります。
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会社も保険料を半分負担してくれる:
社会保険料は、従業員と会社が半分ずつ負担します。これは、実質的に会社があなたの保険料をサポートしてくれていることと同じです。
会社としてどう対応すればいいの?
社会保険適用拡大の対象となる事業主の皆様は、対象となる従業員の方を正確に把握し、制度の説明や加入手続きを進める必要があります。
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対象従業員の把握:
給与計算システムやExcelなどのツールを活用して、週の労働時間、賃金、雇用期間の見込みなどを確認し、加入対象となる方をリストアップしましょう。
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従業員への丁寧な説明:
社会保険加入のメリットや、手取り額の変化などについて、従業員一人ひとりが納得できるように、分かりやすく説明することが大切です。質問に答えられるよう、事前に準備をしておきましょう。
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手続きの実施:
対象となる従業員の方には、必要な書類を揃えて、社会保険の加入手続きを行います。
この適用拡大は、働く方々がより安心してキャリアを築き、将来の生活を安定させるための大切な一歩です。会社と従業員がお互いに理解を深め、協力し合うことで、より良い働き方、より良い未来を共に築いていけることでしょう。