ご家族みんなで気をつけたい!手足口病ってどんな病気?優しい予防と対策ガイド
小さなお子さんを持つご家庭では、「手足口病」という言葉を耳にする機会が多いかもしれませんね。手や足、口の中に小さな水ぶくれができる、夏風邪の一種です。ほとんどは自然に治る優しい病気ですが、まれに重症化することもあります。
このガイドでは、手足口病の症状から感染経路、そしてご家庭でできる予防と対策まで、分かりやすくご紹介します。お子さんだけでなく、大人の方も油断は禁物!みんなで力を合わせて、手足口病から体を守っていきましょう。
手足口病ってどんな病気?主な症状と特徴
手足口病は、主にエンテロウイルスというウイルスが原因で起こる感染症です。特に乳幼児に多く見られますが、大人も感染することがあります。
主な症状
- 口の中の水ぶくれや口内炎: 舌や唇の裏、頬の内側などに、痛みのある小さな水ぶくれや口内炎ができます。これが原因で、食事がしにくくなったり、水分を摂るのを嫌がったりすることがあります。
- 手や足の発疹・水ぶくれ: 手のひらや足の裏、指の間などに、赤みを帯びた小さな発疹や水ぶくれが現れます。おしりやひざ、ひじにも出ることがあります。通常、かゆみはほとんどありません。
- 発熱: 熱が出ることもありますが、38℃以下の微熱で済むことが多く、高熱が続くことは稀です。
ウイルスに感染してから症状が出るまでの潜伏期間は、およそ3〜5日と言われています。症状は通常、7〜10日程度で自然に治ることがほとんどです。
子供と大人で症状は違うの?
お子さんの場合
多くのお子さんは比較的軽症で済み、自然に回復していきます。しかし、口の中の痛みが強いと、水分や食事が摂れなくなり、脱水症状になることもあるので注意が必要です。
大人の場合
大人が手足口病にかかると、子供よりも症状が重くなることがあります。
- 発疹の痛み: 手足の発疹や水ぶくれが強く、痛くて歩きにくいと感じることもあります。
- 全身の倦怠感: インフルエンザのような強いだるさ、悪寒、関節痛、筋肉痛を伴うことがあります。
- 口内炎の痛み: 口の中の痛みも子供より強く出ることがあり、食事や水分摂取が困難になることも。
「大人がかかることは少ない」と思われがちですが、家族や身近な人が感染した場合は、大人も注意が必要です。
どこから感染するの?手足口病の感染経路
手足口病のウイルスは、主に以下の3つの経路で感染が広がります。
- 飛沫感染: 感染者が咳やくしゃみをした際に飛び散る、ウイルスを含んだしぶきを吸い込むことで感染します。
- 接触感染: ウイルスがついた手で目、鼻、口の粘膜を触ることで感染します。感染者の水ぶくれの中の液体や、便にもウイルスが含まれています。
- 糞口感染: 感染者の便の中に排泄されたウイルスが、手を介して口に入ることで感染します。特に乳幼児のおむつ交換の際に注意が必要です。
症状が治まった後も、しばらくの間は便の中にウイルスが排泄されることがあるため、回復後もしっかりとした感染対策を続けることが大切です。
かかってしまったら?手足口病の治療と自宅でのケア
手足口病に特効薬はありません。症状を和らげるための「対症療法」が中心となります。
医療機関での治療
- 発熱や痛みに対して、解熱鎮痛剤が処方されることがあります。
- 口内炎がひどく、水分が摂れない場合は、脱水症状を防ぐための点滴が必要になることもあります。
ご家庭でのケア
- 水分補給の工夫: 口の中が痛いと飲みにくいので、刺激の少ない冷たい飲み物(牛乳、麦茶、スポーツドリンク、経口補水液など)や、ゼリー、プリンなどがおすすめです。
- 食事の工夫: 喉ごしの良い、柔らかく、刺激の少ないものを選びましょう。おかゆ、うどん、豆腐、卵料理などが良いでしょう。熱いものや酸っぱいもの、塩辛いものは避けてください。
- 安静にする: 十分な休息を取り、体力の回復に努めましょう。
- 症状の観察: ほとんどは軽症で回復しますが、以下のような症状が見られた場合は、すぐに医療機関を受診しましょう。
- 高熱が続く
- 発熱が2日以上続く
- ぐったりしている、元気がない
- 嘔吐を繰り返す
- 頭を痛がる
- 呼びかけへの反応が鈍い、意味不明な言動がある
- けいれんがある
- 水分が全く摂れない
予防が一番!今日からできる手足口病対策
手足口病には、現在ワクチンがありません。そのため、日頃からの予防が最も大切です。
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こまめな手洗い:
石けんと流水で丁寧に手洗いをすることが最も効果的です。特に、外出から帰った後、食事の前、トイレの後、おむつ交換の後には、念入りに手洗いをしましょう。アルコール消毒液は、一部のウイルスには効果が薄い場合があるので、石けんを使った手洗いが基本です。
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咳エチケット:
咳やくしゃみをする際は、口と鼻をティッシュやハンカチ、腕の内側などで覆い、飛沫の拡散を防ぎましょう。使用済みのティッシュはすぐにゴミ箱に捨て、その後は必ず手洗いをします。
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タオルの共有を避ける:
家族間でも、タオルや食器の共有は避け、個人のものを使うようにしましょう。
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排泄物の適切な処理:
感染者の便にはウイルスが含まれているため、おむつ交換の際は使い捨て手袋を使用するなど、適切に処理し、その後は必ず手洗いを徹底しましょう。
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おもちゃや共有部分の消毒:
特にお子さんが使うおもちゃや、ドアノブ、手すりなど、共有する場所はこまめに清掃・消毒をしましょう。次亜塩素酸ナトリウム液(家庭用漂白剤を薄めたもの)が有効です。
保育園や幼稚園など、お子さんが集団で過ごす場所では、特に感染が広がりやすいため、施設全体でこれらの対策を徹底することが重要です。
みんなで手足口病に備えよう
手足口病は、特に夏場に流行しやすい感染症ですが、年間を通して注意が必要です。適切な知識と予防策で、ご家族みんなの健康を守り、安心して毎日を過ごしましょう。何か異変を感じたら、迷わず医療機関を受診してくださいね。